夢ならさめて欲しいと思う
引き離される運命・・・
引き離されるなら・・・意地でも・・・掴んでおけばよかった・・・
毎晩、夜空を見ては、昔のことを思い出す。
終わり無き戦いの末に・・・番外編
「姉貴っ!!」
「キャァーー!な・・・これ・・・蛇じゃないっ!!そんなのを、手で掴まないでっ!
わっ!!こっちに持ってこないでよっっ!!」
「姉貴の怖がりィーーー!この街で、一番の怖がりだぁーーー!」
「・・ま・・・待ちなさいっ!!」
周りからは・・・仲が良い姉弟だね・・・。
そう言われてた。
その当時は、“こいつと仲が良いわけない!”って・・・・言い張ってた。
でも・・・どんなに生意気で・・・憎たらしくって・・・・人の嫌がることする・・・可愛げないあの子でも・・・・
私の・・・本当に・・・本当に・・大切な・・・・弟・・・なんだ・・・。
「なぁ・・姉貴。」
「ん?」
1度だけ・・・1度だけ・・・あの・・・憎たらしい奴が・・・可愛いな・・・って思ったときがあったな・・・。
「・・・・俺・・・毎晩、姉貴が夜空見てる時な・・・」
「な・・・なに?行き成り・・・・。」
「俺・・・さぁ・・姉貴が・・・俺の姉貴で・・・良かったって・・・いっつも思うんだ。」
「ど・・どうしたの?熱でもあんの?」
「・・・・今日ぐれぇ・・・一緒に夜空・・見ても良いか?」
「もちろん!私だけの空じゃないもの。」
「・・・ありがと。」
「どういたしまして。」
ただ・・・あの子が・・・元気で・・・笑ってくれれば・・・私も幸せだった。
だけど・・・・あの子の・・・悲しみには・・・何も気づかなかった。
・・・喧嘩で・・・ボロボロに・・・なって帰ってきたのでも、何も言ってくれず・・・喧嘩をした・・・友達の親が家に謝りに来た時に気付いて・・・
あの子が泣いていたのにも・・・・もちろん・・・気付かなかった。
「入るよ?」
「ば・・バカッ!はいんじゃねぇ!くそ姉貴が!」
そういって・・・いろんな物・・投げて・・・
私たちに・・・・辛いこと・・・何も言わなかった。
「ねぇ、さっき聞いたよ?その怪我、喧嘩してなったんだってね?
外で走ってたら、石につまずいてなったんじゃなかったの?」
足の傷・・・・結構、傷は浅いけど・・・大きくて・・・
泣きたいの・・・我慢してたんだ・・・って思った。
「痛いんだったら・・・言って良いんだよ?お姉ちゃんには・・言えない?
辛いことがあったんだったら・・・私に・・言えば良いんだよ?」
その時が・・・・私が・・・見た、初めての涙だった。
「姉貴!俺、将来、軍に入りテェ!」
「だ・・ダメよ!母さん達が心配するでしょ!?」
「皆を守るために、軍に入りテェんだ!!」
「・・・・それなら・・・強くならなくっちゃね?」
「あぁっ!!」
あの時の・・・あの子は生き生きしていた・・・
今・・・あの子は・・・どうしているんだろう・・・
生きていてくれたら・・・それだけで・・・
夢ならさめて欲しいと思う・・・
弟と交わした言葉・・・一つ一つが過ぎる・・・
そんな・・・ことを・・・・毎晩、夜空を見ては・・・思い出す・・・。